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万博コラムvol.3「なぜ今、万博か?」

この記事の要約💡
▶︎いよいよ2025年4月に大阪・関西万博が開幕します。今回はそもそもなぜ今、万博を行うのか? 3つの視点から、万博の開催意義を考えてみます。
▶︎ 1点目は「世界の今を知る場」、2点目は「日本と自分自身を見つめ直す場」、3点目は「インターネット時代の万博」です。
▶︎ 「世界160ヵ国もの今を知れる」「自らとの違いを知り、自らを見つめ直すきっかけになる」「リアルな対話と偶然の出会いがある」万博には特別な意義があります。

 2025年日本国際博覧会協会の西本敬一と申します。今回のテーマは「なぜ今、万博か?」についてです。

 万博の開催が近づくにつれ、万博の開催意義への関心も高まっています。そもそもなぜ今、万博を行うのか? ここでは3つの視点から、万博の開催意義を考えてみます。

西本敬一
【プロフィール】
2025年日本国際博覧会協会
経営企画室・上席審議役
・日本貿易振興機構(JETRO)から出向( 2022年8月~)。海外勤務経験:計12年(オーストリア、ドイツ、米国ニューヨーク・ロサンゼルス)
・2000年ハノーバー万博日本館で総合プロデュース業務に従事した他、四半世紀にわたり、5つの大規模万博(ハノーバー、愛知、上海、ミラノ、ドバイ)全てを視察調査。直近のドバイ万博も2回の現地調査を通じて全192パビリオンを分析。



1.「世界のいのち」を知り考える万博

 万博は、「世界の今を知る場」です。世界160ヵ国もの今を知る場は、万博をおいて他にはありません。

 ところで、そもそもなぜ、世界を知る必要があるのでしょうか?それは、私たちの生活に世界が密接に関わっているからです。身の回りのモノやサービスを見ても、世界との関係なしに私たちの生活は成り立ちません。

 そしてその関係は、今や私たちの「いのち」にまで広がっています。新型コロナウイルスの問題は、世界との関係なしには解決できない実態を露にしました。気候変動や環境問題、頻発する紛争等、いのちを取り巻く環境は年々厳しさを増しています。未来世代にいのちを繋ぐためにも、世界のいのちの今を知り、世界と共にいのち輝く未来社会を目指す大阪・関西万博の開催は、今の時代に必要なものと考えます。

2.日本と自分自身を見つめ直す万博

 世界の今を知る万博は、日本と日本人自身の今を見つめ直す万博でもあります。世界の多様性を知れば知るほど、自らとの違いを知り、自らを見つめ直すきっかけになります。世界のいのちや生き方を知ることで、対話と交流が生まれ、お互いの違いを認め合う相互理解と寛容さに繋がります。世界の分断が進む現在、つながりを取り戻す万博の価値は、以前よりも遥かに高まっているのではないでしょうか。

3.インターネット時代の万博の意義

 インターネットが普及した現代において、もはや万博に価値はないとの意見を耳にします。私はこれまで25年にわたり万博を見てきましたが、インターネットと万博には明確な違いがあります。それは「人々の存在」です。

 世界中の人々と五感を通じて対話し交流できる。これこそがリアルな万博の価値であり、インターネットには決して真似できないものです。もう一つは、英語でセレンディピティと言いますが、偶然の出会いも万博の魅力の一つです。私がドバイ万博で最も感動した展示は、カザフスタン館で見た人間とロボットアームによる共演、大変印象的だったのは、ガボン館で見た映像でした。

 皆さんも、インターネットでは決して出会えない価値を万博で見つけられると思います。

▲ガボン館の映像
▲カザフスタン館の人間とロボットアームによる共演

写真提供:西本敬一

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秘書課 ☎︎072-334-1550(代表)