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嗅覚と味覚障害【健康ガイド】

植村耳鼻咽喉科(天美東7丁目)
院長 植村善則


嗅覚と味覚の重要性

 出来立てのお味噌汁から広がる出汁のいい香りや、炊き立てのご飯を食べたときに感じるお米の味わい。これらの香りや味わいが、私たちの日常生活に豊かな喜びをもたらしています。しかし、嗅覚障害や味覚障害が現れると、この楽しい体験が一変してしまうかもしれません。

嗅覚と味覚の関係

 これらの障害は、通常一緒に現れます。これは、嗅覚と味覚が密接に関連しており、食べ物の味わいのほとんどは嗅覚に頼っています。嗅覚が働かないと、食べ物の味の多くが失われるため、味覚も影響を受けます。嗅覚・味覚障害自体は自然に回復することも多く( 60〜80%は2週間以内に改善との報告が多いです)、決して治療を急ぐ必要はありませんが、10日以上経過しても改善しない場合は、新型コロナウイルス感染症の初期症状の可能性があります。

コロナウイルスと嗅覚障害

 これは、ウイルスが上気道や咽頭部に侵入し、嗅覚と味覚を司る組織に影響を与えるためです。コロナウイルスによる嗅覚障害は6ヶ月位には9割の方は改善がみられますが、原因は種々考えられるため、一度耳鼻咽喉科受診をおすすめします。治療としては嗅覚刺激療法またはステロイド局所投与等はありますが、専門医に相談ください。